放課後、部活や塾などで皆が散り散りに教室を出て行く。
美菜が帰り支度をしていると、やっと質問攻めから解放された叶が歩み寄ってきた。
「お疲れ様」
無視することも出来ず、美菜はとりあえずそう言った。
叶は困ったように苦笑いをしながら、小さく頷く。
彼女が急いでないのを見てとり、自然に首を傾けた。
「美菜は何か部活やってるの?」
「ううん、私は何も」
美菜が軽く首を振ると、叶は何気ない調子で言った。
「じゃあ、途中まで一緒に帰ってくれないかな……?
実はまだ道を覚えきれてなくて」
弱った様子の叶に、美菜は思わず声を上げて笑ってしまう。
小さな笑いへの、叶の複雑な顔に気付き、美菜は慌てて謝った。
「あ、ごめん……!」


