「この林を抜けたらすぐだから」
美菜はそう言うが、叶にはその林はどこまでも続く開かずの森に見えるのか、たじろいだ様子が見えた。
鬱蒼(ウッソウ)と茂る木々はどこまでも高く、空が切り取られており、明るいはずの日差しが地面まで届かない。
「都会っ子はダメね。ひょろひょろしてるだけじゃない」
さっきまで田舎へのつまらなさが溢れていた気配はどこへやら、美菜は叶に憎まれ口を叩く。
「かなわないなぁ」
叶は苦笑した。
ちょうどその頃、やっと前面から明かりが差し込んでくるのが見えた。
「あ、ほら、ついたよ」
美菜が前方を指さした。


