だが、遊園地で遊びながら笑顔を目にするとそんな印象は吹っ飛んだ。
どちらかというと良く笑い、キラキラとした目を持つ好奇心の強い子、という印象が強くなった。
そんな美菜の一面を知ると、なぜつまらなそうな顔をするのか知りたくなった。
それに、いとこには彼氏が出来ていて、男の叶が近寄るのを好ましく思わない様子だったのも、行動の後押しをした。
だから、連日で悪いかなと思いながらも、町の案内を頼んだのだった。
美菜が何をして、何を思い、15年という月日をこの町で重ねたのか、片鱗だけでもいいから見たかったのだ。
懐かしさの薫るこの町で育った彼女が、どうしてあんな顔をするのか、気になったから。
叶が思う以上に町には何も店がなくて、隣町まで行くことになってしまったけれど。
美菜に連れられ、叶は海へと足を運んだ。
都会で生まれ都会で育った叶には、潮の香りが近いのは少し憧れもあった。
この町に来る度に晴香と遊んだ記憶が、ぼんやりと思い起こされる。


