引き金引いてサヨウナラ



美菜の町は歩いて行けるところに自然がある。


自然の中に住み、自然とともに成長してきた美菜を、叶は羨ましいと思っていた。


美菜に言うと『都会から来る人は空気がおいしいとか水がきれいとばかり言う』と憤慨しそうだと思い黙っていたが。


東京にいた頃はなんとも思わなかったが、この町に来てつくづく自分の体が都会の害にさらされていたことに気付く。


スモッグが肺の隅々まで吸い込まれていたように感じたし、薬臭い水道水で血液が全て薄汚れたように感じる。


もちろんそんなことは自分の思い違いとわかってはいるものの、どうしても拭い去ることが出来なかった。