彼女には、彼がどうしてそんな辺鄙な場所に行きたいのか理解出来なかった。 都会の代名詞とも言える東京の方がよっぽど面白そうなのに、美菜が東京のことをきいても「何もないところだよ」としか返ってこなかった。 たくさんのデパート、劇場、映画館、おしゃれなカフェ……何もないわけないのに、叶にそう言うと少し困った顔をするだけだった。 美菜は、あまりに田舎に住んでいる自分を気遣って、話してくれないのだろうと解釈した。