ガタン ガタン──
結局二人は昨日と同じ電車に乗り、隣町へと向かっていた。
「ごめんね」
電車賃という余計な出費を美菜にさせてしまったのを、申し訳なさそうに叶は言った。
「いいよ。私も行きたかったし、ちょうど良かった」
特に必要なものなんてなかったけれど、これ以上気を遣わせたくなくて、美菜は首を振った。
そしてぼそりと言葉を続けた。
「田舎すぎるよね、本当に有り得ない」
小さな呟きだったが、電車の音にかき消されることもなく、叶の耳に届いた。
「いいところだと思うよ」
ふわりと笑った叶に何か言いかけた美菜だったが、口を噤んでフイと視線をそらした。