話を切り出しておきながら、自己完結してしまった叶に、美菜は首を振った。 「迷惑だなんて……案内くらい付き合うよ」 行きの電車内で、弘から叶へ向けられた視線を、美菜は思い出していた。 それに、町の外から来た叶に、少し興味もあった。 都会の風を感じる叶に。 「……いいの?」 恐る恐る聞く叶に、美菜は笑顔で頷いた。 「任せて!……その代わり」 「その代わり?」 何を言われるのだろうと不安げな叶に、美菜はわざと顎を上げ、ツンと言葉を放った。 「ランチおごりね」