美菜と叶は向かい合わせに座った。
叶は高いところが苦手というだけあり、椅子の真ん中に腰掛けて、チラチラと外を見ては目をつむったりした。
そんな様子も、さっきのように実は演技なのかも、なんても思ったりして。
美菜は叶の様子をコッソリと見ていたが、本当なのかどうか、よくわからなかった。
演技する必要性などないから、本当なのだろうけれど。
叶がその調子だからなのか、自分が叶と二人きりというのを意識してなのか、会話がぎこちない。
さっきまでのノリを取り戻すようなくだらない話しをしているうちに、観覧車はいつの間にかてっぺんにさしかかっていた。
空を独り占め出来るこの場所で、美菜は遠くに目をやった。
それからツイと視線を落とし、ポツポツと地上に散らばる星を見つめているうちに、ゆっくり少しずつ、高度が下がってきた。
昇りよりも下りのほうが、高所が苦手なひとには恐ろしいのではないか。
そう思ってふと叶に目をやると、目が合う。
彼は美菜に微笑みかけ、美菜はどぎまぎしながら視線をはずした。


