その後、絶叫系以外の乗り物を、四人であらかた制覇した。
楽しい時間はあっという間で、いつの間にか辺りは暗くなり、所々にポツポツと輝く星が見え始める。
半分ほど欠けた月が、肩身を狭く思っているかのように、キリリと身を縮めていた。
遊園地内は、照明やアトラクションの灯りでくっきりと明るい。
しかしそろそろ閉園が近付いているらしく、園内に流れる音楽がスローテンポのものに変わっていた。
「そろそろ帰ろうか」
誰からともなくそんな言葉が口をつく。
だけど誰も、先陣きって出口へ向かおうというものはいなかった。
頭ではもう閉園時間とわかっていても、名残惜しさから動けないでいた。
アトラクションの係員が、それぞれの終了を掲げ始める。
乗り物によって終了時刻はまちまちみたいで、最終を叫んでいる係員もいた。
「最後に、観覧車に乗りたい」
方向を真っ直ぐ指さして、晴香は言った。
「間に合うかな」
「どうだろ。とりあえず急ごう」
四人は乗り場へと急いだ。


