もしそうなら申し訳ないと思いながらも、ふつふつと湧き上がってくる虚無感は拭えなくて、美菜はこっそり溜め息をついた。
確かに晴香といれば楽しいけれど、みんなと遊べば退屈を忘れるけれど。
それでもどこか、すきま風が吹くような感じ――
ひとりぼっちでいるみたいな。
喧騒が耳の奥でさざめいていて、意識はクリア過ぎるほどなのに、自分の存在が透明になってしまったような感覚。
晴香と話したり弘と話したりしていれば、自分というものを確立出来るけれど、だからといって彼らを独り占めしたいわけじゃない。
ただ、自分の居場所はここじゃない、という感覚に陥ってしまうのだ。
何か打ち込めるものがあれば違うのだろうか。
何かしなきゃと思いながら、でも何をしたらいいのかわからない。
焦れば焦るほど、手のひらからスルリと抜け落ちるような、そんな感覚。
だから刺激が欲しいのだ。
己では何も出来ないから、外部から揺さぶられたら、何かが変わる。きっと。
こんな田舎じゃなくて、町を出たらきっと手に入る――
――退屈しない毎日が。


