駅から電車で一本の、隣町にある遊園地へ行くことに決めていた。
あまり混雑していない駅の中を通り、改札を抜けると丁度電車が止まるところだった。
四人は電車に乗り込み、思い思いに手すりや吊革へ掴まる。
体つきのがっちりとした弘は悠々と吊革に掴まっていて、叶は吊革に手を添えていた。
背丈は同じくらいなのに、掴まり方はだいぶ違う。
叶の掴まりかたは、なんとなく控え目な印象を美菜に植え付けた。
晴香は吊革だと腕がしんどいと言って、いつも扉付近の手すりに掴まる。
美菜も手すりのほうが楽だから、晴香のそばに立っていた。
「叶、やっぱり背ぇ伸びたよね~。生意気!!」
そう言って叶を肘で小突く晴香を、弘が複雑な表情で見ている。
美菜はそのことに気付いて、三人からふいっと視線を外した。


