いつも晴香と待ち合わせに使う、駅の隅っこの銅像前で、美菜は晴香が来るはずの道に背を向けて立った。
晴香たちが来るのを見たくなくて。
遠くから、自分の方へ近付いてくるまでの時間がどうしていいかわからなくて、美菜はいつもそうしてしまうのだった。
待ち合わせ時間をゆうに5分超えた頃、美菜の後ろから声を掛けるものがいた。
「美菜、遅くなってごめんね」
美菜が振り返ると、晴香が男の子二人を携えて立っていた。
一人は美菜もよく知る弘。
晴香を挟んで立つ見かけないほうのもう一人が、晴香のいとこに違いない。
体育会系っぽい弘と真逆で、線の細い男の子だった。
茶色のサラサラとした髪に、茶色の瞳。
全体的に色素が薄いけれども、肌は青白いという感じではないから、不健康そうには見えない。
身長は弘と同じくらいだから、170後半くらいだろう。
初対面で緊張している美菜とは違い、うっすらと柔らかい笑みを浮かべている。柔和な印象の男の子だ。
「こっちが叶(カナイ)、私のいとこ。
こっちが美菜、私の親友」
さばさばと晴香が紹介をすると、叶は微笑みながらスッと右手を差し出し、美菜に握手を求めた。


