美菜が「いただきます」と箸をつけた頃に、達也がのそりと、新聞片手に顔を出した。
「全く、ご飯っていうと起きてくるんだから」
まるで食事が出来上がったのを見計らったかのような登場に、柚江は苦笑しながら達也のご飯をよそう。
達也はにこりともせずに食卓についた。
美菜は、達也が居間へ入ってきたときも、食卓にかけたときも目を合わすことなく黙々とご飯を食べ続けていた。
あたためたコーヒーを飲み干し、
「ごちそうさま」
柚江に声をかけ立ち上がる。
「お昼は?」
「いらない」
柚江と簡単な受け答えをし、外出準備のために美菜は居間を出ていった。


