「さぁ、二人共、降りて降りて♪」


岡崎邸に着いたアテンザから真っ先に降りたシチローは、ホテルのドアボーイのように後部ドアを開けて、馬場よしこと小島みどりをエスコートする。


「あの……探偵さん、私達大学の帰りだったからこんな服だけど、構わないのかしら?」


車から降りた馬場よしこと小島みどりは、少し心配そうに自分達の服装を見渡している。


「いやいや、全然OKだよ♪気にしない、気にしない♪」


どうして二人が自分達の服装など気にするのかというと、それは、シチローが二人を車に乗せる為についたデマカセに関係があった。




『実は今日これから、
岡崎邸で美佳さんをしのぶ会が催されるそうなんだ……美佳さんがあんな殺され方で亡くなってしまったものだから、岡崎さんとしても、あまり大それた葬儀などは行わないらしい。それでも、美佳さんに縁のある人達を集めて、こんな形で故人をしのぼうという訳だよ。』