「さっ♪乗った乗った!行くぞ!シチロー!」 松田は、自分の車の運転席の窓から、トボトボと歩くシチローを急かした。 「これ、松田刑事の車なの?……『松田刑事』だから車もマツダってのは、ひょっとしてダジャレ?」 松田が乗っていたのは、マツダの青いアテンザだった。 「くだらない事言ってないで出発するぞ! 今からなら大学の下校時間に間に合う!」 名前が松田だからマツダ車というのは、どうやら図星らしかった。 松田刑事のちょっと気恥ずかしそうな横顔が、それを表している。 .