「待ってよ、フィートウ」


 その頃、ユエル達の間にはなんとも言えない微妙な空気が漂っていた。

 早足で先を行くフィートウがユエルの言葉に振り返る。


「なんで呼び捨て?」


「ふぇ? えっと、なんとなく……ダメ?」


 ゆっくり眼を細めてユエルを睨むように見る。


「あなた、調律者でしょ」


 あまりに唐突な質問に少し眼を丸くするが、しっかりと頷いた。


「そうだよ。やっぱり解るんだね、調律者同士…」


「一緒にするなッ!!」


「ッ!!!!」


 思いもしない大きな声と叫びに、一瞬、硬直する。