『ミス・サラサ』と呼ばれている事以外は、誰も彼女の全貌を知らない。
 どこの出身なのかも、それが本名なのかも一切が不明の、謎多き美女なのだ。


「カーツウェル、サライが呼んでたわよ。調査結果出たって」


「それでわざわざ来たのか? 通信すれば済むだろうに」


「いいじゃないの、たまにはローなのも。それに夜風に当たってたの。あなたの為じゃないわ。ついでよ、つ・い・で♪」


 そう言ってウインクをしたミス・サラサは、とても綺麗に笑う。
 老若男女、彼女に惚れない者はいないだろう。