「もう~縁起でもない。
お迎えなんかこのあたしが返り討ちにしてやるっての」


 拳を握って正拳突き一本。
 ……眼付きがマジだ。
 それを見て何故かドッと疲れた気がして、軽く嘆息する。


「わかったから…いつもの赤箱10カートン出してくれませんかねぇ、お嬢さん?」


 それを聞いてバッと拳をしまい、少し頬を染める。


「マッ……また、そんな買うの? お得意様だからって、ガンになっても知らないから」


 そう言いながらも棚から箱を取り出し、サクサク袋に詰めていく。


「ご心配ど~も。今時癌なんかじゃ死なんけどな」


「それは……そうかも知れないけど」


 ポケットから皺くちゃの金を出し、袋と交換する。

 少しだけスネたユエルの頭を軽く撫でて、ブーたれる彼女を横目にユラばぁちゃんによろしく、と言って煙草屋を離れた。