青木くんはそう制して、ベッドに座ると高さの低いテーブルにどこから取り出したのかはわからない厚い茶封筒を投げ置いた。


私は眉間に皺を寄せてその茶封筒を見ていたが、彼がそんな私を見て言った。


「100万」


その台詞を聞くと私はすぐさま彼に目を向けた。


「……っ、どういうこと」


「そこに100万ある」


「私を買うってこと?」


ふっと彼は鼻で笑って、首を横に振る。


「それ、あげるからお願いがあるんだけど」


「何よ、それ……」


「簡単なことだよ。君にとってはこんな簡単なお願いなんて他にないかもしれない」


はあ、と軽く息を吐き改めて彼は私を見る。




「碧から離れてくれないか」