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「葉月ちゃん、おっはよう」
朝の騒々しい大学の講義室で、北山さんはいつもと変わらず高いテンションで声を掛けてきた。
「おはよー葉月ちゃん。今日も可愛いね」
「うるせーよ、浩太。おはよ」
続いて現れたのは野口くんとその野口くんの頭を叩く碧。なんとなく、碧の口調が優しかった気がする。
その様子をじっと見ていただけの私を碧は口パクで私に何かを伝える。
その口パクに仕方がない、と思いながら私は渋々口を開く。
「……おはよ」
その瞬間、北山さんと野口くんがにーっと笑った。
「やっと葉月ちゃんが挨拶してくれたよー」
「俺、嫌われてるかと思ったじゃんか」
はしゃぐ二人をよそに、ちらっと碧を見ると笑顔で右手の親指を立てていた。
『good!!』
彼に言わせればそんなサインだろう。
「そうそう、あたしのこと灯でいいからね。北山さんってガラじゃないから」
「そんで俺、浩太だから。そこんところよろしく」
笑顔の二人はそう言って話を進めていく。

