まるで馬鹿にされたように言われた私は、ムッとなって言い返す。


「別れたら彼氏に殺される、とか?」


「葉月は変な方向に考えるなー」


くすくすと、やっぱり馬鹿にしたように笑う碧。


「簡単だよ。北山が本当に別れたかったら、もうとっくに別れてる。でもまだ別れてないのは、まだ北山が彼氏のこと好きだからだよ」


「……馬鹿みたい」


そう吐き捨てる私。


「私のときは、ユウキに私と別れろ、みたいなこと言ったくせに」


「それは……」


少しの間、碧は口を閉じてそれからまた言った。


「お互いが好きそうにみえなかったから」


「そうじゃないかもしれないじゃない」


「それに、」


碧は私の頭の上にぽんと手をのせて、私と視線を合わせる。


「俺が嫌だったから」