微笑んでるわけでもなく、悲しんでいるわけでもなく、日常的に交わす会話のようにそう答える彼を見て、私はまた心が空っぽになっていく。
別に“付き合ってる”なんて言われても困るだけ。むしろ、嫌だ。
そう、これが正しい答え。
なのに、空っぽになっていくこの心は何?
「そう、つまんなーい。あたしは北山 灯(キタヤマ アカリ)。灯でいーよ」
本当につまらなさそうな顔を一瞬して、それから彼女はそう言った。
小柄で明るい髪のショートボブ。……“灯”という名前がぴったりなような気がした。
「俺は野口 浩太(ノグチ コウタ)。現在彼女募集中でーす。葉月ちゃん、俺なんかどうー?」
「浩太先輩、ダメっすよ、抜け駆けは! あ、オレ向井 昴(ムカイ スバル)っす。先輩たちより1コ下です」
眼鏡をかけた男子と、年下の目のクリクリした可愛い男子が一気に話す。
浩太……、彼が馴れ馴れしく私の名前を呼んだことには、嫌気がさした。
「青木 涼乃(アオキ スズノ)、」
コーヒーを片手に持ち、テーブルに広げている雑誌に視線を落としながらしれっと言い放った。嫌にコーヒーの似合う男子。
「……美優(ミユウ)、自己紹介ー」
ショートボブの女子、北山さんはずっと顔をうつむけたまま動かなかった清楚な女子を小突いた。

