「ハーヅ」


大学で次の講義室へ行くために廊下を歩いていた私は、いきなり後ろから抱きつかれた。


ユウキに。


「なんかさ、ハヅ最近冷たくね?」


「そう?」


私はユウキにそう言ったけれど、その返事も冷めていた。


いや、始めから温かくなんてなかった。


始めから冷めてたんだよ。


「今日、ハヅん家行ってもいい?」


「……ごめん、今日はそんな気分じゃないの」


私はそう言い切って、ユウキの腕を振りほどいた。


大体の誘いには乗る私も、今日はそんな気分じゃなかった。


と、言うより体がダルかったのだ。


「ノリ悪いな」


チッとユウキは舌打ちして、そのまま廊下を歩き出そうとしていた私の腕を掴んだ。