「ハジメマシテ、ハヅちゃん」


後ろから2番目か3番目の列で講義を受けている私に声をかけてくる見知らぬ男。


こんなこともすっかり慣れてしまったこの頃。


私は講義に集中しているふりをして、その男の言葉を聞き流す。


すると男はさらに調子を上げて私に言う。


「シカトはないんじゃない? ねえ、オトモダチになろうよ」


馬鹿馬鹿しい、という思いを心の中にねじ伏せて私は男の方を向き、微笑んだ。


「どういう意味?」


「どういう意味って、わかってるんでしょ?」


そう聞き返す男を見て、私はふっと笑った。


「そうね」