「君も同じように、誰かを待ってるんじゃない?」


「……っ、知らない!」


知らない、シラナイ!


私は何も知らないわ! そんなの、あなたが考えれば……


「……葉月」


突然、温かい体温が私を包んだ。


突然のことで、上手く整理がつかなかった。


「そっか、君は弱かったんだね……」


ぽんぽんと、まるで子供をあやすように背中をなでる彼。


「知ら、ない……」


彼に聞こえないくらい、小さな声で呟いた。




その夜、彼はずっと私を離さなかった。


私はそのことに対して何もしなかった。




だけど、その夜私が泣きそうだったのは彼には絶対の秘密だ。