そんな私の睨みも彼には効かなく、その彼は私の手を見て言った。


言われて気づいた。


私はぎゅっと自分の手を握って、うつむいた。


「……関係ない、でしょ」


どんどん声は小さくなっていった。


そんな私を救うようにチャイムが鳴り、先生が講義室に入ってきた。


騒々しかった講義室も一気に静まり、私たちはそれ以上何も言わなかった。


――




講義が終わると、私はすぐに席を立った。


「ちょっ……待って」


慌てて彼が私を引き止めようとしたが、その声も聞こえないフリをして立ち去った。