20××年、春。


今日からあたしは…男子校に通います。



「汐音~!早くしなさい!」



下からヒステリックにあたしの名前を呼んでいるのはお母さん。


もう…お母さんってば。


今日から男子校なんかに通うって言うのに、そんな喜んで用意できるわけ無いじゃん。



「はーい。今行くからぁ。」



階段の方から聞こえてくる声に対抗して、大きな声で返した。