なんとか、女だとはバレてないみたいだけど…。 やっぱり不安。 「よーし皆席につけ。今日はもう分かってるだろうけど、編入生の紹介だ」 そこまで言ったのが聞こえると、何人かが口笛を吹いた。 …あたしやってけるかな? 「愛原、入ってこい」 「あ、はい」 鞄をぎゅっと握ると、一歩一歩黒板の前に近づいた。 皆の視線があたしに集まる。 「愛原 紫苑です。よろしく」 愛原 紫苑 アイハラ シオン あたしは今日から、この名前で過ごすことになる。