教えてもらった部屋は個室で 部屋にはなにもなく ただ 道端に咲いているタンポポの花が 小さなジュースの空き瓶に 無造作に入れられていた ピ・ピ・ピ と身体の歩調に合わせてなる機械音だけが その病室を包みこんでいた ベッドには 頭からグルグルと包帯を巻かれた人が寝ていた 男なのか 女なのか 一目では 分からないぐらい 包帯が巻かれていた 僕は 立っている事だけで 精一杯だった 君が そこに寝ているのが 分かってしまった 分かりたくなかった