あたしが小学三年生のときに入学してきたゆめ子。


家も数軒しか離れていないのに、あたしがゆめ子の存在を知ったのは小学校だった。


一学年、たった数人の小さな小学校で、ゆめ子は同い年や年下、一部の年上から『ユメちゃん』と呼ばれていた。


あたしを含む年上からは『ゆめ子』と呼ばれていた。


あたしは、何故か『ユメちゃん』と呼んでみたくなった。


可愛いゆめ子。
人見知りなあたしだけれど、少し、近づいてみたくなった。



あたしはゆめ子や一部の年下からは近寄りがたい存在。



ユメちゃんと呼んだあたしに、ゆめ子は言ったのだ。


『こわい』と。






それは、いくら周囲から怖がられていようとも、まだ小学生だったあたしがゆめ子との間に距離をおくには十分すぎる言葉だった。