6月半ば。



いよいよ、8耐の前哨戦、300キロ耐久ロードレースがある。



最近、光さんはずっとピリピリしていた。

さすがに、この夏に賭けているから。

今までにない緊張とプレッシャーがあるんだろうな…



とは思うけど。



「…うん、わかったから。
またレースが終わったらそっちへ寄るから」



どうもレースだけではないみたい。



毎日のように実家から電話が入っている。

明日はもう、サーキットに行かなくてはいけないのに…

大丈夫なのかな…?



「何ちゅう顔をしてるん!」

電話を切って光さんはあたしの額を指でおもいっきり突いた。

「痛い…」

あたしは額に手を当てる。

不安げな顔をしていたらしい…

「ご飯食べたら、送るから」

光さんはチラッ、と時計を見た。

まもなく0時。



最近、金曜、土曜はトレーニングをしてから、光さんの家に寄る事が多い。

一緒におかず作って夜ご飯を食べて。

それから送ってもらう。



けど、今日は水曜日。

明日から光さんがいないので、今日は特別。



パパは

「出来たら日付が変わるまでに帰って来て」

と言うけれど。

いつも0時半くらい。



ママは

「泊まってもいいわよ〜!!」



…はあ。