祥太郎はピットに戻ってきてガッツポーズを見せた。

この二人は。

お互いを刺激し合っている。



パパは満足そうな様子で雑誌等のインタビューに応えている。



あたしはパドックを出てレーシングスーツに着替えに行った。

あたしもいつかは。

そうなれるのかな?

例えば知樹と。

もしくは祥太郎と。



そんな風にレースが出来たら、楽しいだろうな。

あたしはそう思いながら自分の走行を頑張ってみた。



あたしの走行は2分12秒789が最高で、これはベストラップだった。



「睦海、これなら万が一の時でも戦えるよ」

パパはピットに戻ってきたあたしの肩を叩く。

「万が一なんてあったら…嫌だよ?」



ヘルメットを脱いであたしは祥太郎と光さんを見つめた。

二人とも頷く。



その後、夜間走行の練習もあり午後8時すぎにこの日のスケジュールがようやく終わった。