「お! 愛斗早いな」



……白衣を着た化学の教科担、
中田 雅彦(通称マーくん)。



彼女は俺の姿を見ると、気まずそうな表情をしてすぐに目をそらす。


うっ……毎回のことだけどやっぱり傷つく。



「マーくん、今度のテスト範囲広いの?」


「そんなことないよ? 化学なんて暗記科目だから一夜漬けで余裕だって」


「ぷっ……先生のくせにそんなこと言っていいの?」



自分の目と耳を疑った。



彼女が……マーくんとは普通に会話を交わしている。いや、普通どころかめちゃくちゃ楽しそうに。