「だって家では何もなかったように振る舞うんだよ? 俺の知らないところで泣いてるなんて……心が泣いているのを想像するだけで胸が張り裂けそうなんだ」



ほ、本当に泣きそうな声だしっ!



「あの子には誰にでも優しく思いやりを持つように言って育ててきたから……いい子すぎて気に入らない奴がいるんだろうね」


「そうですね」



自分の娘のことを堂々と誉めているけど、親バカではない。本当に俺もそう思うから。



「……で? 付き合ってんの?」



ぷっ……声色が急に変わったんですけどっ!?



「表面上は……心ちゃんを守るために付き合うフリをしてます」



話していいか迷ったけど、彼女がされていることも美姫ちゃんと陽と話し合って決めたことも全て話した。



「そっか……ありがとう。心のために」


「いえ、僕にも責任はありますから」