顔をあげると……



「相馬さん」


「おはよう」



ニコッと笑って、話し掛けてきた。しかもみんなのいる教室の中で。



なんで?



あまりに予想外なことで、目が点になっていると彼女はさらに続けた。



「今まで嫌な態度とってごめんね。井野くんに言われて反省した」


「いや……そんな……」


「それだけ言いたくて。起こしてごめんね」



そう言って自分の席に戻る彼女。怒っていると思っていたのに、まさか謝られるとは思わなかった。



目で彼女を追うと、机の中にある俺の手紙に気付いたらしく手に取って目を通していた。そして俺のほうを振り返って



ふわりと優しく笑って首を横にふった。