「いいですっ! 大丈夫!」 「え……でも」 「私、一人でやれるから」 そう言って俺の手から黒板消しを取り上げる。 ……好意で言ったのに。いや、半分は下心あったよ。 嘘。半分どころか100パー下心あった。だって話し掛けるチャンスなんて滅多にないし。 その滅多にないチャンスに俺が話し掛けると、彼女は必ず目をそらす。そしてすぐに会話を終わらせようとするんだ。 まあ、あれだ。 ――俺、好きな女の子から嫌われてるらしい。