母親は少し考え込んでから俺と輝を家の中に招き入れた。 「……親友の心ちゃんが来ても会おうとしないから。彼氏のあなたなら花も鍵を開けてくれるかも」 鍵……? 階段を昇りながら眉を寄せる俺。 「風邪じゃないんですか?」 「……ええ。部屋に閉じこもったまま出てこないの。私の留守にシャワーを浴びたり、冷蔵庫の中身を持って部屋に入ってるみたいなんだけど」 完全にひきこもり? 社会との関係を完全に切ったってこと? 何で今さら……