さっき彼女を見送っていた母親が出てきた。 「こんにちは。花ちゃんの友達の井野っていいます。花ちゃんのお見舞いに来たんですけど」 「わざわざありがとう。だけどパジャマ姿を見られるのが嫌だって言うから……ごめんなさい」 「構いません。僕、花ちゃんとお付き合いさせてもらってるんです。会わせて頂けませんか?」 「あなたが花の彼氏?」 『偽りの』だけどね。こうでも言わなきゃ花ちゃんに会えないと思って言った。