「ダメだよ。誰にも聞かれたくないんだから」 腕を振り払われても、引き下がらない彼女に花ちゃんは応じず ……動揺してる……? 目も合わさずいつも堂々としている花ちゃんじゃなくて、オドオドした態度で困惑していた。 「何で? 私と二人きりで話すことが怖いの?」 「違う。今は心と二人になりたくない」 「理由は?」 「……」 目を伏せて沈黙が流れたと同時に、教室中にチャイムが鳴り響く。 「……花ちゃんも心ちゃんも落ち着いて? 席に戻って」 内心ホッとした。だけど彼女は引き下がらなかった。