「へぇ。そりゃ難しい壁にぶち当たってるねー」
――日曜日。
行き付けの美容院にやって来た。椅子は3つしかない小さな美容院。
ここの店主で美容師のなおさんはよく相談にのってくれる。頼りになるお姉さんタイプだ。
「彼女が何を考えてるのかまるで分からないんだよね。どう思う?」
「恥ずかしいわけでも男の子が苦手でもないってことは……」
なおさんは器用に髪を手に取ってハサミを入れながらうなる。
「愛斗くんが原因だろうね」
「え?」
俺?やっぱり、俺がなんかした?
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