それは、
まだ私が小さい頃の話で、


まだ元気だったお母さんと、

確か買い物に行ったんだっけ....

よくは覚えて無いんだけど、

ただ、

お母さんに手を引かれて
歩いた並木道の木の所に、
眠るように木に
もたれ掛かっている
綺麗な着物のお兄さんがいたの、

いま考えてみると、

すんごく変な人なんだけど、

でも、小さな頃の私は、

その人から目が離せなかったのを
覚えてる。


そして、
そのお兄さんが凄く
寂しそうだったのも
覚えていた。

その記憶だけでは、
会うことはもう
叶わないって言うのは
分かってるんだけど、


でも、出来るなら、

もう一度逢いたい、

"もう寂しくない?"

ただ、聞きたい、

あのお兄さんのそばには、
ちゃんとあの
お兄さんの心を拭える、

そんな人が居るのかどうか、


幸運なら、あのお兄さんに、
愛する女がいれば、

そんなことを思っている


自分勝手だね