「……え?」



あたし……?



みんなが一斉にあたしの方を向く。



な、なに?



「美綺、今日は美綺に伝えたいことがある」



「え?」



伝えたい……こと?



「美綺、早く行って!」



茉衣があたしを見て言った。



「え?」



「早く早く!!」



茉衣があたしの背中をステージの方に押した。



訳が分からないあたしは、あたふたするしかなかった。



「美綺、こっちに」



流二の優しい声が耳に届いた。



その瞬間、みんなから大きな拍手が上がった。



取り敢えず、ステージの真ん中に上がる。



「……流二?」



一体、なんなの?



「これからお前に、大事な話するな」



「……うん」



流二の瞳が、ジッとあたしを捉える。



なんだか目が反らせない



「美綺、一回しか言わないからよく聞けよ」



「うん」



なんだろう……大事な話って。



流二を見つめながら思う



みんなの視線はあたしたちに向いている。



はっ、恥ずかしいからそんなにジロジロ見ないで。……そう思った時、流二が静かに口を開いた。



「俺と、結婚しよう」



「え?」



流二……今なんて?



そう思っていると、流二は制服のポケットから小さな箱を取り出した。



そしてその箱を開けてあたしに見せた。



「……これっ」



もしかして……指輪?



「俺が絶対に幸せにする。だから……俺と結婚してください」



流二はあたしをジッと見つめて言った。



自然と視界が滲むのが分かる。



ウソッ……これってプロポーズ?



そう思うと、嬉しくて余計に涙が溢れた。



「……はい。よろしくお願いします」



その瞬間、あたしは流二に抱き締められた。



「こんなの……ずるいよ」



流二に聞こえないように小さく呟いた。