「あっ、はい」



美綺の母親は子どもを抱かせてくれた。



「うわっ……やっべーっ。ほんと可愛い」



「そうね。見てるだけで癒されるわ」



ほんと癒される。



子どもは俺を見てニコニコ笑ってる。



やべーっ。ちょー可愛い!!



「ほら見て。手なんか、こんなにちっちゃいの」



美綺の母親は子どもの指に触れた。



さっきまで美綺の腹ん中に居たんだよな…。



なんか、信じらんねー。



まだ父親になったって実感が湧かない。



「可愛いですね」



「なんか、鼻の辺りは雨宮君にそっくりねーっ」



美綺の母親は俺と子どもを交互に見てそう言った



「そうですか?」



「ええ、そっくりよ。やっぱり親子ね」



美綺の母親は笑顔でそう言うと、子どもをベッドに戻した。



……親子か。なんかいいな、こういうの…。



まさか、この歳で父親になるなんて思ってなかったけど。



だけど、いい体験が出来た。



「目や口は美綺にそっくりね」



美綺の母親はそう言うと、子どもに布団を掛けた



ああ、確かに。



言われてみれば、そうだ



目や口は、美綺にそっくりだ。



やっぱりそういう所見ると……親子なんだと実感する。



「おい。可愛いぞお前」



俺はそう言って子どもの頬を突っ突いた。



うわっ、やわらけーっ。



なんだ、この柔らかさ。



なんつーの?なんかこう、プニプニしてる。



赤ちゃんの頬って、こんなに柔らかいんだ。



すげーっ。



子どもは俺を見てずっとニコニコしている。



あーっ!!マジ可愛い。



なんだ。この可愛いさ?



「女の子よ。名前は二人で決めるといいわ。候補は美綺がいくつか決めたみたいだから」



「はい」



「それじゃ、私は帰るわね」



「あっ、はい」



そして美綺の母親はそのまま病室を出て行った。