【完】イケメン生徒会長は俺様!?

「……ああ」



頷きながらも、美綺とは目を合わせられない。



なんとなく……目を合わせちゃイケないような気がしたんだ。



「今日ね……病院の帰り道に、あの公園で拓哉と逢ったの…」



美綺はゆっくりと口を開いた。



「…………」



「それで……久しぶりに話したの」



「…………」



俺は美綺と目を合わせることなく、ただ壁に掛かっている時計にだけ視線を集中させた。



「久しぶりに逢った拓哉は……すごくカッコよくなってて、付き合ってた頃より何倍もカッコよかった」



「…………」



「だけど……あの頃とは全然変わってなくて、あの頃を思い出した」



美綺の肩が小刻みに震えている。



「……大丈夫だから」



俺はそう呟いて、美綺を抱き寄せた。



「……雰囲気も外見も変わってたけど……笑顔だけは、全然変わってなかった」



美綺の目から涙が零れ落ちる。



「笑顔だけは……あの頃のままで、全然変わってなかった。……その笑顔を見た時、すごく懐かしく思った」



美綺はそう言って、涙を拭った。



「…………」



俺はなにも言わずに、美綺の手を握り締めた。



思わず握っている手に力が入る。



「だけど……過去のことが頭をよぎって、なかなか離れなかったの……いくら頭の中から消し去ろうとしても、全然消えなくて…」



美綺の目からはとめどなく涙が溢れ出てくる。



「…………」



俺は……なにも言えなかった。



「拓哉は……あたしにたくさん謝った。……いくら辛い過去を持っていても、その現実から逃げることは出来ないって分かってても……拓哉はずっと"ごめん"って謝ってた…」



「…………」



俺はなにも言えなかった



泣いている美綺に、涙を拭ってあげることさえ出来ない俺は……惨めだ。



ただ、話を聞くことも大事なんだ。



だけど、今の俺は美綺の涙を拭ってやることも出来ない。



分かってるけど―――…