なんか、いつにも増して不機嫌のようです…。



ちょっと怖いよ。



顔は笑ってるのに、目が全然笑ってない…。



「冗談キツいねー…」



啓悟君はちょっとしょぼくれている様子。



「なんか不機嫌?」



和葉ちゃんが流二をジッと見て言った。



「……別に」



あーあ。流二、完全に不機嫌モードだよぉ。



「み、みんな!ここじゃなんだからリビング行こっ!」



あたしはこの空気を変えるために大声で言った。


「そ、そうだね!」



茉衣が明るく振る舞う。


「……そうだな」



結城君が頷く。



「こっちだよ!」



あたしはみんなをリビングに案内した。



「うわぁ……広ーい」



茉衣がリビングを見て言った。



うん。確かに広いよね。


あたしも最初にここに来た時、それしか言えなかったもん。



ただただ"広い"って言葉しか浮かばなかった。



本当にありえないと思った。



絶対迷子になるよ。いや、迷子確定。



あたし実際、迷子になりましたから。



まず、この家の広さがありえないし。



部屋なんかいくつあるか分からないよ。



普通にテラスまであるし。で、温水プールもちゃんと完備されてるし。



お風呂なんか色んなところに付けられてるし。



ほんとにありえないよね、この家。



もう広すぎるし。



ましてや、食堂なんかどんだけって言うぐらい広いし。



テーブルは無駄に長いし、イスなんか多すぎて何個あるか分からないし。



てゆーか、多すぎて数えられない。っていうくらい広い。



本当の"豪邸"というには充分相応しいよ。



あたしの部屋だって一面タンスだらけで、ベッドも無駄にデカいし。



テレビは付いてないけど、相当デカいテレビが置けるよ。



置くスペースかなり残ってるし。



もしかしたら、テレビ二台くらい置けるよ。



そのくらい広い。