「…………」



「……それであたし……夢の中で声を押し殺して、一人泣いてたの。行かないで、ずっと側に居て。……そう言ってた」



美綺の寝言と同じだ…。


「…………」



「グスッ……夢の中でも、流二が離れていくのが……グスッ……イヤだった」


美綺はそう言うと、泣き始めた。



「……美綺、俺は美綺から離れていかない。ずっと側に居るから。だから、泣くなよ」



俺はそう言うと、席を立って美綺の側に行き、美綺を思いっきり抱き締めた。



「グスッ……怖かったの。流二に見捨てられるのが、自分勝手だって思われるのが……イヤだったの…」



美綺は泣きながら俺にそう訴えた。



「大丈夫。離れないし、ずっと側に居るから。見捨てないから」



俺は美綺をギュッと抱き締めてそう言った。



「うっ……ヒックッ……うん」



美綺は涙を拭い、頷いた


「……俺は美綺の側から絶対離れないって約束しただろ」



「……グスッ……うん」



「だから泣くな。啓悟たち来るんだぞ?そんな顔で啓悟たちの前に出る気か?」



俺はそう言うと、美綺の顔を覗き込んだ。



「……ううん」



「フッ……ひでー顔」



俺はそう言うと、美綺の髪の毛をグシャグシャにした。



「……もう、バカッ。こっちは本当に流二が離れて行くんじゃないかって不安だったのに…」



美綺はそう言うと、唇を尖らせて拗ねたように見せた。



「ごめん」



「いいよ。しょうがないから許してあげる」



美綺はそう言うと、ニッコリ笑った。



その笑顔は、いつもの美綺だった。



「やっといつもの美綺に戻ったな」



俺はそう言ってニコッと笑った。



「……え?」



美綺は不思議そうな顔をして俺を見た。



「お前に泣き顔は、似合わねーよ」



俺はそう言って美綺の頭を軽く撫でた。



「お前はとりあえず笑っとけ」



そして言葉を続けた。



「……うん」