「はぁ……はぁ……はぁ…」



「美綺……大丈夫か?」


俺はそう言って美綺の背中を擦った。



「はぁ……大丈夫」



美綺はそう呟いてニコッと笑った。



「もしかして……つわりってヤツ?」



「うん……これって結構辛いんだよね…」



美綺が言った。



「大丈夫か?あんまり無理すんなよ」



「はぁ……分かってるよ…」



美綺はそう言うと、歩き出した。



「でも……どんなに辛くたって耐えてみせるから」



美綺はそう言って、俺にギュッと抱き付いた。



俺は美綺を抱き締めた。


「……頑張れ」



一言呟いた。



「うん」



美綺が頷いた。



「あっ、ご、ごめん…」


美綺は俺から離れると、スタスタと部屋に戻って行った。



「フッ……可愛いヤツ」


俺は小さく呟いた。



美綺に聞こえてるのか聞こえてないのかは、分からないけど…。



俺も部屋へ戻り、やらなきゃいけない仕事が残っていたためそれに手を付けた。



「……美綺が、妊娠か」


なんか、信じらんねー。


でも……俺が父親ってことだよな…。



なんか、全然実感沸かねーな…。



でも美綺は、もっと大変なんだよな…。



子供、産むんだもんなぁ…。



子供産んだら……美綺は学校辞めることになるんだよな?



けど、俺は生徒会長だから辞める訳にはいかねーしな…。



アイツ一人に負担かけさせちまうのか…。



そう考えたら、罪悪感でいっぱいだ。



ほんと、申し訳ない。



俺も子育て手伝わなくちゃいけないな…。



……一応、父親になる訳だから。



でも、美綺は母親だもんな…。



これからもっと大変なんだろうな…。



産まれるのはまだ先の話だけど……またこの一年も、あっという間に過ぎていくんだろうな…。



そんなことを考えているうちに、自然と深い眠りに落ちていった。