鍵を開けると中へ入った


美綺はソファーに座ると、パンの入った紙袋を開けてパンを食べ始めた。


俺は購買で買ったイチゴオレを開けると、一口すすった。



「ねー流二」



美綺は食べかけのパンの袋をテーブルに置くと、俺の所に寄って来た。



「……ん?」



「怒ってる?」



美綺は悲しそうな顔をしてそう呟くと、俯いた。


はっ?……なに言ってんだ?



そりゃあ、アイツと仲良く話してるの見るとイラッとくるけど…。



「え?なんだよ急に……どうしたんだよ」



俺はいつも通りの口調でそう言うと、美綺の顔を覗き込んだ。



「あたしと良平が話してるの……見てたでしょ?」



美綺は俺の目を見て、今にも泣き出しそうな顔で言った。



「……え?」



なんで、泣きそうな顔してんだよ…。



「…………」



俺はなにも言わずに黙り込んだ。



「……ごめんね」



美綺は小さくそう呟くと、ソファーに戻った。



俺は本当のことを聞こうと美綺の元へ行った。



「美綺……あのさ、美綺は冴島と、どういう関係なんだ?」



俺がそう聞くと、美綺は少し黙り込んでから口を開いた。



「良平は……あたしの幼馴染みなんだ」



美綺は小さく答えると、俺を見て更に続けた。



「……良平とは、保育所からずっと一緒だったの。でも小4の時、良平はあたしになんにも言わずにいきなり転校しちゃったんだ。……でも、今日良平がうちの学校の転校生として来てるって聞いて……正直驚いた。まさか、良平と話してる所を流二に見られてたなんて思ってもなくて……だから、誤解されたくなくてなんて説明しようか、考えてたの…」



美綺は俯きながらそう言った。



「…………」



……そうだったのか…。


俺が勘違いしてただけか。……ごめん美綺。



ギュッ



俺は美綺を力一杯抱き締めた。



「え?……流二?」



美綺は驚いたように目を見開くと、黙り込んだ。