雨上がりの道路は、太陽の光を反射してキラキラと輝いていた。

朝倉に借りたタオルでサドルと荷台を拭く。

ハンドルを握り、サドルにまたがる僕。

「乗っていいよ」

日よけの下に佇む唯にそう言うと、彼女はおもむろに荷台に腰掛けた。

僕の肩を掴む感触が懐かしかった。

「じゃあ、お願いします」

お願いします、か。

敬語か。

そうだよね、僕たちはもう他人だもんね。

ペダルに足をかけ、ゆっくりと漕ぎ出す。

最初は重かったが、加速度を帯びるにつれて、だんだんスピードが上がっていく。

風を作ってしまえ、いつの間にか流れていた涙が乾くように。

涙?

紛れもない涙だ。

別に何か期待してるわけじゃない。

なのに、涙が止まらないのは何故なんだ?

プライドなんてクソくらえだ。


自転車に翼が生えて、時空を超えて、僕たちが一緒に過ごしたあの日々まで、飛んでいけたらいいのに。





ーひとっ飛び・終わりー