カウンターの奥から朝倉が出てきた。

僕たちのいるテーブルの上に、紙袋を置く。

「はい、これ珈琲」

「ありがとう」と唯が言い、席を立った。

「じゃあね、吉村君。また連絡するから」

ドアを開けて出て行こうとする唯に、「ちょっと待って」と僕は声をかけた。

「自転車があるんだ。送っていくよ」

目を丸くする彼女。少し笑った。

「じゃあ…お願いします」